大住力 × 田中章生 ソコリキ対談 “クロストーク” 第2回|楽しく、真面目に、真剣に

第1回の対談で、田中さんはカヤックスクールへの思いを語ってくださいました。障がいのある方にカヤックを届けたいという構想、そして「誰かの役に立ちたい」という動機。

その流れの中で、話はいつしか「仕事とは何か」という問いへと向かっていきました。

田中さんが、こんな言葉を口にしました。

「楽しく、真面目に、真剣に」

あまりにも、自然に発言された言葉でした。大住は、そこで問いかけました。

「それは、どこで学んだんですか」


大住が、自分の話を始めました

田中さんが答えます。仕事はやるからには真剣にやりたい。楽しさと真面目さは両立する。それはずっとそう思ってきた、と。

その言葉を受けて、大住が口を開きました。

「僕はね、入社して2年目の時のことを、今でも覚えているんですよ」

オリエンタルランドに入社して2年目のことです。東京ディズニーシーのプロジェクトチームに配属されました。当時まだインターネットがなく、アメリカから航空便で届く大判の設計図面を、毎日ひたすらコピーする仕事を任されました。

「当初、なんで大学まで出て、僕がコピーしなきゃいけないんだ、と思っていました」

しかしある日、コピーした図面をふと手に取って読んでみました。シンボルとなる建物の配置設計、ゲストが迷わないための動線の計算式、日米トップが交わしたロイヤリティ契約の条文——テーマパークのつくり方が、すべてそこにありました。

「あれ、この図面って、まだ誰も見ていないよな。社長も、まだ見ていないな・・・」

「僕はあの時、ものすごくそれを感じたんですよね。一見するとたんなるコピー取り、一見すると資料保存なんだけど、実は、見方を変えれば、まったく違うんだよって・・・」

単純な仕事の中に、すべてが宿る

大住の話を聞いた田中さんは、深く深く頷きました。

田中さんも、現場でそれを身体を通じてご存知だからです。

ホテルの客室を整える仕事、料理を運ぶ仕事、ゴミを拾う仕事。
そこに何を見るかは、その人次第です。

「真面目と楽しくは、両立する概念だと思いますので」

田中さんは、もう一度そうおっしゃいました。

2人の話は、こうして重なりました。

コピー取りの中にテーマパークづくりの源泉を見つけた人と、
「どんな仕事も楽しく真剣にやれる」、それらは当然両立すると言い続けてきた人が、
同じ場所に立っていました。

【編集室から】

「楽しく・真面目に・真剣に」という言葉は、田中さんが長年現場で積み重ねてきた実感から来ています。

大住がオリエンタルランドで体験したこと、田中さんがホテルとスキー場の現場で見てきたこと——それぞれの経験は異なります。

しかしこの対談の場で、2人の言葉は同じところに着地しました。

楽しさと真面目さと学びは、同時に起きる。

その事実を、編集室はここに記しておきます。

次回・第3回|「いただいているものが、大きい」へ続きます

取材・文|Hope & Wish 編集室撮影|舞子スノーリゾート(2026年6月19日)

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