大住力 × 田中章生 ソコリキ対談 “クロストーク” 第3回|「いただいているものが、大きい」

対談の終盤、大住力は田中章生さんにこう問いかけました。

「長い間、難病のご家族を受け入れてくださっていますが、正直なところ、何か言いたいこと、要望はありますか。指摘でも、指導でも、なんでもいいです」

田中さんは、少し考えてから口を開きました。


「いただいているものが、大きい」

「大住さんのされている活動は、素晴らしいと普段から思っています。自分たちが同じことをできるかというと、できません。ですから、少しでもお役に立てることがあれば、と思って受け入れをしています」

そのうえで、田中さんはこう続けました。

「何かを提供して差し上げているというような、おこがましい観点ではなくて——いただいているものが大きい、という感じなんですよね」

ウィッシュ・バケーションを受け入れるとき、現場のスタッフは通常業務とは異なる緊張感と向き合います。

難病の子どもとそのご家族を迎えるために、若い人から年配の人まで、各部署が連携しながらおもてなしを考え、精一杯動きます。

「それが、現場の人たちの一体感になったり、考える力になったり、通常のお客様へのおもてなし力のアップになったりしています」

今年4月から受け入れが始まった札幌でのことも、田中さんは話してくださいました。支配人研修会で、スタッフが写真入りでウィッシュ・バケーションの報告をしたそうです。

「やっている時は、これで本当に大丈夫なんだろうかと、不安だらけで準備したみたいなんですけど。実施した後の充実感が、とても大きかったようで・・・」

3度の危機を越えて

田中さんが会社を創業して21年。その間に、3度の大きな危機がありました。

リーマンショック、東日本大震災——自社の10軒のホテルが被災し、うち2軒は津波被害を受けました。そしてコロナショック。ホテル・観光・外食業界全体が3年にわたって打撃を受けました。

「政府の様々な支援策や、メインバンクをはじめとした金融機関のご支援もいただきながら、全社一丸となって対処しました」

そのように、田中さんは、そのように話をしてくださいました。

これからも、ご一緒に

対談の締めくくりに、田中さんはこう言いました。

「舞子でも、札幌でも、その他の拠点でも、あらゆる側面でご協力できればと思っています」

【編集室から】

全3回の対談を記録し終えました。

田中さんと大住は、まったく異なるフィールドを歩んできました。

ホテルとスキー場の経営者と、難病の子どもとその家族を応援し続けてきた人間。

それでも対談の場で、2人の言葉はいくつかの場所で重なりました。

「誰かの役に立ちたい」という動機のこと。単純に見える仕事の奥にあるものを見るということ。楽しさと真剣さが両立するということ。そして「いただいているものが大きい」という感覚のこと。

田中さんが「楽しく・真面目に・真剣に」と言い、大住が「本気・本当・本物」を大切にする眼差しで受ける。表現は違いますが、2人が指し示しているものは、近いところにあります。

その近さを、編集室はこの3回を通じて、少しずつ確かめることができました。

取材・文|Hope & Wish 編集室撮影|舞子スノーリゾート(2026年6月19日)

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