「支援」ではなく、「応援」を

2010年3月、私は44歳でした。

東京ディズニーリゾートを経営する株式会社オリエンタルランドでの20年間を経て、ひとつの確信を持ってこの団体を立ち上げました。

その背景にあったのは、「非力・私はできない」という確信でした。

医師でもなく、福祉の専門家でもない。ただの一人の人間に、難病を患う子どもやその家族に対して、何ができるというのか。その「非力さ」を、私は痛いほど自覚していました。

しかし、その非力さこそが、私の本当のエンジンになったのです。

Give & Give ——ヘンリ氏との出会い

37歳の時、オリエンタルランドの一社員としてアメリカ出張で訪れたフロリダで、私はその後の人生を変える出逢いをしました。

難病の子どもとその家族に無償でディズニーバケーション(家族全員旅行)を提供する非営利団体「Give Kids The World」の創設者、ヘンリ・ランドワース氏。ホロコーストを生き延び、その後、ホテル経営者として成功を収めた彼は、私にこう、説いてくれました。

「生きるとは、人に分けることだ」

Give & Takeではない。Give & Give。見返りを求めず、ただ自分が持っているモノ・コト・スキル等を分けること。それが「生きる」ということなのだと。

その言葉を聞いた時、今振り返れば、もしかすると私は何も理解できていなかったのかも知れません。家族もいのちも、明日も当たり前にあると信じていた。幸せは「いつか手に入れるもの、得るもの」だと、ずっと先の理想ばかりを見ていました。

しかし、その後の7年間、ヘンリ氏の言葉は私の中で静かに育ち続けました。 オリエンタルランドで様々なプロジェクトに関わりながらも、 心のどこかで問い続けていたのです。

「自分の役割(Mission)とは何か」と。

そして44歳の時、私は会社を辞める決断をしたのです。

私たちは「支援者」ではない

この団体を立ち上げてから気づいたことが多々あります。

その一つは、私たちは難病の子どもやその家族を「支援」しているのではないということです。

「支援」という言葉には、上から下への一方向的な関係性があります。「困っている人を助けてあげる」という構図。しかし、それは違う。

私たちは、「応援」しているのです。

応援とは、双方の立場から相手の力を信じ、託して、後押しすること。そして同時に、相手から学び、自分自身のソコリキ(底力)に気づかせてもらうこと。

難病を患う家族は、「かわいそう?な人たち」ではありません。彼らは、限りあるいのちの時間の中で、本当に人として大切なものに気づき、その本質を知っている人たちです。彼らの本気で生きる姿から、私たちは人間が本来持つ力、チャンスに気づき、学ばせてもらうのだと思うのです。

3者が共に育つ場

私たちは、単なる福祉団体ではありません。

私たちが目指しているのは、難病の子どもとその家族・支援者(企業や個人)・寄付者という3者が出会い、互いに応援し合い、共に成長する場、社会を創ることです。

難病を患う家族は、社会とのつながりを取り戻し、「大丈夫、ひとりじゃない」と実感する。

支援者は、活動、協働を通じて、Face to Faceで向き合う中で、自分の仕事の意味や人生の役割(Mission)、生きがい、生きる証を再発見する。

寄付者は、自分の人生や家族への想いを、社会に永続的に循環させる機会を得る。

誰かが誰かを一方的に支援するのではなく、全員が全員から学び合う。

それが、私たち、Hope & Wishの相互成長モデルです。

本気・本当・本物で生きる

現代社会は、タイムパフォーマンスや損得勘定が偏重され、人間が本来持っている力——ソコリキ——が、使われずに失われつつあります。

便利さやAIの進歩、個人化の進行により、「一人でも生きられる」という錯覚が蔓延しています。

しかし、本当にそうでしょうか?

私たちは、本気・本当・本物を大切にしたいと思っています。

本気とは、心の底から真剣に向き合う姿勢。
本当とは、マーケティング言葉ではない、リアルな事実・現実・ストーリー。
本物とは、「人は幸せになるために生まれてきた」という人間本性を自覚し、それを生きる人の姿。

表面的な活動や、一時的な感動を提供し、それで終えるつもりはありません。私たちは、継続的な関係性の中で、互いに回数を重ね、深く永続的なつながりを築いていきたいのです。

あなたも、共に

私は今でも、自分の非力さを日々感じています。

できないこと、いっぱいです。もちろん完璧な人間でも、まったくありません。

でも、だからこそ、誰にでも正面から向き合えるのだと思います。だからこそ、Face to Faceで、嫌われることを恐れず、本音で語り合えるのだと思います。

この活動は、量ではなく、質を追います。深さ、重み、尊さを追求します。
本気で生きようとする人たちと、本当のつながりを築きたい。
そして、その輪を、家族という一番小さくて基盤となる組織から、社会全体へと広げていきたい。

あなたも、共に生きませんか?

役割(Mission)は、誰にでもあります。
ソコリキは、誰もが持っています。
ただ、それに気づいていないだけです。

私たちHope & Wishは、その気づきの場です。
3者が交わり、互いに応援し合い、人間本来の力を取り戻す場です。

人は誰しも、もしかしたら「弱い」存在なのかも知れません。でも、私自身がそうであったように「弱さ」に気づき、そこから人生や社会を考えることで、自分を本来的に生きていくことになる。

だからこそ、本気で生きたいから、人と関わる。

そんな覚悟を持った方々との出会いを、心から楽しみにしています。

公益社団法人 難病の子どもとその家族へ夢を
代表理事 大住 力(おおすみ りき)

大住力プロフィール

大住力(Riki Osumi)

公益社団法人難病の子どもとその家族へ夢を代表。1965年広島県出身。90年明治大学卒業後、(株)オリエンタルランド入社。ディズニーの人材育成教育、東京ディズニーリゾートプロジェクト、マネジメントなどを経て、2009年退職。10年現団体を設立。同年、青山学院大学社会情報学研究科博士前期課中退。14年国際ビジネス賞スティーヴィー賞金賞受賞。18年TOKYO2020オリンピック・パラ人材育成統括就任。20年働きがいのある会社ランキング3位受賞。21年社会貢献者受賞。著書に『一生の仕事が見つかるディズニーの教え』(日経BP)、『ディズニーのしくみ大全』(あさ出版)、『一度しかない人生を「どう生きるか」がわかる100年カレンダー』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『残り30年ジャーニー悔いなき人生を歩むための50の教え』(KADOKAWA)など。

専門:ホスピタリティ、コミュニケーション、組織活性、理念浸透、人材育成

大住力の想いをさらに深く知りたい方は、こちらのnoteもぜひご覧ください。

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